就活において、企業が必ず尋ねる「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」は、自己PRや志望動機と並ぶ、あるいはそれ以上に重要なポイントです。それと似たようなニュアンスで「学生時代に最も打ち込んだこと」を聞かれるケースもあります。この違いに戸惑い、何のエピソードを伝えればよいかわからないと悩む方も多いのではないでしょうか。本記事では、ガクチカとの違いから、伝え方・書き方・探し方までを解説します。最も打ち込んだことを通じてあなたらしさを最大限に伝え、内定獲得に向けてブラッシュアップしていきましょう学生時代に最も打ち込んだことはガクチカとは違う?結論からいうと、問いとしては違いますが、質問の意図はほぼ同じであり、エピソードが被る可能性が高いといえます。「ガクチカ」は「学生時代に力を入れたこと」です。力を入れたことと打ち込んだことを聞く質問の意図としては、能力や適性はもちろん、モチベーションの源泉や人間性の確認のためです。皆さんは結果の大小にはこだわり、強いエピソードや弱いエピソードなどと自分の経験を揶揄したりしますが、プロセスも評価する上では非常に重要な要素です。「なぜ打ち込めたのか」を伝えることが大切であり、正解はないため、自分らしさをいかに企業と結びつけるかという伝え方です。学生時代に最も打ち込んだことを採用担当者が聞く意図学生時代に最も打ち込んだことを採用担当者が聞く意図は何なのでしょうか。下記に3つご紹介します。意図①熱意やモチベーションの把握意図②能力や適性の確認意図③価値感や人柄理解意図①熱意やモチベーションの把握採用担当者は、志望動機や配属後の仕事に対する熱意や粘り強さを知りたいと考えています。最も打ち込んだことと、なぜそれに打ち込めたのかを問いかけることで、その人が困難な状況でも継続できる資質を持っているか、見極めようとしています。なぜ熱意をもって取り組めたのか、その際のモチベーションは何だったのかを言語化することが必要です。意図②能力や適性の確認打ち込んだ内容から、その人がどのようなスキルや役割を発揮したのかを知る意図もあります。打ち込んだことでどのような能力やスキルが発揮されたのか。リーダーシップ、協調性、創造力など、具体的な強みを言語化することと、どの能力やスキルをアピールする必要があるのか、戦略を練ることが大切です。意図③価値感や人柄理解どんなことに心が動くのか=あなたの価値観や人柄を示す手がかりになります。何に情熱を注いだのか、その際にどのような行動をとったり感情が動いたのかということから、その人の価値観や性格が垣間見えるため、企業との相性を見る上で重要な指標となります。学生時代に最も打ち込んだことを見つける3つの質問学生時代に最も打ち込んだことを見つけるにはどうしたらいいでしょうか。下記に3つの質問を紹介するので、これによって見えてくるかもしれません。質問①学生時代に時間を忘れるほど夢中になって取り組んだことはなにか?質問②苦労したけど乗り越えた経験はなにか?質問③友人や社会人から褒められたことはなにか?質問①学生時代に時間を忘れるほど夢中になって取り組んだことはなにか?時間を忘れて夢中になったり没頭できた経験こそが、自分が本当に好きだったことの証拠です。仕事も、熱中することによって生産性が上がったりパフォーマンス発揮しやすくなります。長時間取り組んだ活動を思い出し、なぜ夢中になれたのか分析してみましょう。質問②苦労したけど乗り越えた経験はなにか?うまくいかない場面でも続けた背景には、強い意志や工夫があります。また、なぜ逃げ出さずに乗り越えたのかという点が、実際の仕事でも再現性をもって活かすことができます。そうした過程を思い出すことで、自身の強みや価値観が浮き彫りになります。質問③友人や社会人から褒められたことはなにか?周囲の評価は客観的な強みの証拠といえます。どんな点を褒められたのか振り返ることで、自分の資質や取り組み方が明確になります。小中高大の友人、アルバイト先の仲間や社員、親、先生、様々な人に出会い、様々なフィードバックをもらっているはずです。ここで一度思い出して、整理してみましょう。学生時代に最も打ち込んだことを伝えるポイント学生時代に最も打ち込んだことを伝えるポイントはなんでしょうか。下記に3つのポイントをお伝えするのでぜひ参考にしてください。ポイント①結論ファーストポイント②具体と抽象のバランスポイント③今後にどう生かすかポイント①結論ファースト最も打ち込んだことでも、ガクチカでも、志望動機でも、まず一番大切なのは結論ファーストです。そのため、最初に「私は◯◯に最も打ち込みました」と結論から伝えましょう。そうすることで、相手に話のテーマを明確に伝えることができます。面接官は何千何万のESに目を通し、何百人と面接をするため、冒頭の印象が大きな判断材料になります。社会人になっても、伝えたいことを一言で表現するスキルは必要不可欠です。必ず意識するようにしましょう。ポイント②具体と抽象のバランスまずは、「何を」「いつ」「どのように取り組んだか」を時系列で整理し、成果と苦労の両方を具体的にまとめましょう。ただ、具体的なエピソードを伝えただけでは伝わらないことも多いです。そのため、強みや価値観など抽象的にまとめる必要もあります。これらをバランスよく取り入れることによって、相手に伝わりやすい内容となります。ポイント③今後にどう生かすか最も打ち込んだ経験が、企業での仕事やチーム活動にどう役立つかを明確にして、将来への意欲と適応力をアピールしましょう。企業側は、学生時代に最も打ち込んだことのように、今後仕事に対しても打ち込んでもらいたいと期待をしています。そのため、どのようにすれば打ち込めるのかということが分析できているかが大事な判断材料となります。学生時代に最も打ち込んだことの構成・フレームワーク学生時代に最も打ち込んだことのフレームワークを下記で紹介します。ぜひこのフレームワークを参考にして一度アウトプットしてみましょう。結論前提課題想い行動結果学び結論まず最初に「学生時代に最も打ち込んだことは◯◯です」と一文で結論を述べることで、相手に伝えたいポイントが明確になります。文章の最初に要点を示すことで、読み手や聞き手が内容を理解しやすくなり、印象にも残りやすくなります。これができていないと一気に内容や結論がわかりづらくなるため、必ず意識しましょう。前提学生時代に打ち込んできたことの活動を実施していたときの背景や環境(時期・組織・人数など)を説明しましょう。どんな状況の中で取り組んだのかを伝えることで、あなたの役割や行動の意味がより明確になります。また、客観的な情報や具体的な数値で全体像を示すとより前提がわかりやすくなります。課題打ち込んだことの中で直面した課題や問題点を具体的に述べます。これは後の想いや行動につながる部分なので、単なるトラブル報告ではなく、「なぜその課題が自分や組織にとって重要だったのか」も併せて伝えると説得力が増します。この部分から、あなたの課題認識力や問題意識をアピールすることもできます。想い上記で挙げた課題に対して、自分がどう考えたか、なぜ解決しようと考えたのかというあなたの想いを語るパートです。表面的な行動だけでなく、「なぜその行動をしようとしたのか」というあなたらしさや価値観を伝えることが、大きな差別化となります。行動課題を乗り越えるために、自分がどのような具体的な行動を取ったのかを詳しく伝えます。具体的な行動の中身が見られているため、どこまで具体的に書き、どこからは書かないのか。そしてどこからどこまでを面接で話すのかという面接を想定した戦略が求められるポイントとなります。結果あなたの行動によって、どんな成果や変化があったのかを具体的な数字やエピソードで示しましょう。目立った成果が出ていなくても、行動によって状況がどう変化したかを丁寧に描くことが大切です。客観的な成果や周囲の反応なども含めて表現できると、説得力が格段に上がります。学びその経験を通じて自分が何を学んだのか、なぜ打ち込めたのか、そして今後どのように活かしていきたいかをまとめます。指定された字数によっては調整が必要なポイントです。価値観や仕事への姿勢、再現性のある学びが伝えられると良いでしょう。学生時代に最も打ち込んだことの例文学生時代に最も打ち込んだことの例文を紹介します。部活動、サークル活動、アルバイトの例文を載せているのでぜひ参考にしてください。部活動私は大学の体育会硬式テニス部に3年間所属し、1部昇格に貢献しました。1年次は控え選手でしたが、負けず嫌いな性格から「絶対にレギュラーになる」と決意し、朝練と自主練を毎日重ねてテニス技術向上に努めました。また、戦術面を先輩や同期と分析し、相手の弱点をつくプレーを身につけたことで、3年時に念願のレギュラー入りを果たしました。そして3年次の団体戦では勝利を重ね、チームの1部昇格にも貢献することができました。この経験から、目標に向かって地道に努力する姿勢を学びました。サークル活動映像制作サークルに所属し、1年をかけて学園祭に向けた自主映画制作に力を注ぎました。脚本・撮影・編集をメンバーで分担し、私は監督兼編集を担当しました。苦労した点は、それぞれのメンバーで意見の食い違いがあり、チームが分裂しかけたときです。私は全員と毎日面談を重ねて対話を重視し、折衷案を模索しながら1年かけて作品を完成することができました。学園祭の上映会では満席となり、上映後には多くの方から直接面白かったとの感想をいただきました。この経験を通じて、対話の大切さを学び、今後も様々な課題に対してコミュニケーションを忘れずに解決していきたいと考えています。アルバイト大学2年生から現在まで約3年間、カフェのホールスタッフとして勤務しました。オープニングスタッフだったことと駅前の立地であったため、常にバタバタしておりバイト仲間とコミュニケーションがとれていない点が課題でした。そこで私は新人教育に力を入れ、自らマニュアルを作成し、1ヶ月で独り立ちして余裕をもって接客ができる体制を構築しました。結果として店舗全体のサービスレベルが向上し、店長やオーナーから「あなたのおかげでバイト内が明るくなった」と評価をいただきました。この経験を通じて、責任感とチームワークの大切さを学びました。学生時代に最も打ち込んだことがどうしても見つからない時の対処法学生時代に最も打ち込んだことがどうしても見つからない時はどうしたらよいのでしょうか。下記に3つの対処法を紹介するのでぜひ参考にしてください。小さな経験にも視点を向ける今から打ち込んでみる他者からフィードバックをもらう対処法①小さな経験にも視点を向ける部活、アルバイト、ボランティアなどどのような内容でも「結果が出たかでなく、打ち込んだか」が軸となります。そのため、どんなに小さな経験でも構いません。もしかしたら、趣味や習慣のような、「これって就活で話していいの?」というようなものになることもあるでしょう。身近な活動にも価値を見出してみてください。対処法②今から打ち込んでみるもし、本当に何もないのであれば、今から打ち込むということも一つの手段ではあります。運動、趣味、勉強、なんでもかまいません。覚悟を決めて打ち込んでみてください。また、打ち込めるものはそうそう見つかるものでもありません。一つやってみてダメなら他と、どんどんチャレンジしてみましょう対処法③他者からフィードバックをもらう友人や先生など身近な他人に「自分が一番打ち込んでいたのはどんな時ですか?」と聞いてみましょう。客観的な視点から思い出が引き出されやすくなります。また、親は一番身近であなたのことを観察している他人です。ぜひフィードバックを受けてみましょう。学生時代に最も打ち込んだことについてよくある質問学生時代に最も打ち込んだことについてのよくある質問を下記にいくつかまとめましたのでぜひ参考にしてください。もしもっと詳しく話を聞きたい場合やより具体的な相談をしたい場合は、我究館の無料相談会でコーチに直接質問をしてみましょう。学生時代に最も打ち込んだことは高校時代のものでもいい?基本的には、「学生時代」という指定を受けているため、高校生時代のエピソードを伝えることは好ましくありません。大学以降で打ち込んだ経験がなく、成長や意欲の少ない学生だという印象を与えてしまいます。どうしても高校時代にしか打ち込んだことがないということであれば、なぜ打ち込めたかと同時に、なぜ大学時代は打ち込めた経験がなかったのかということにも言及することが大切です。学生時代に最も打ち込んだことは学業や研究のことでもいい?もちろん学業や研究のことでも構いません。特に研究活動は「前提→課題→結果」というプロセスが分かりやすく、論理的に伝えやすいです。ただし、上記で紹介したように想いの部分がおろそかになりがちなため、しっかりと想いも伝えていくことが大切です。内定が取れる学生時代に最も打ち込んだことを作るなら我究館の無料説明会ここまで読んでみていかがでしょうか。学生時代に最も打ち込んだことをESや面接で伝えていくためにも、単なる成果や事実の羅列ではなく、あなたの価値観、あなたらしさを伝える必要があります。そのためにも、本記事で紹介した構成やポイントを参考に、自己分析を行い、自己理解を深めていきましょう。もし、自己分析や就活について不安や悩みがあれば、ぜひ我究館の無料相談会でコーチに相談してみてください。様々な問いかけや質問を通じて、あなたの人柄や強みを企業に効果的にアピールし、内定獲得に一歩近づきましょう!