学生の就職活動でよく耳にする「自己分析」という言葉ですが、大人にも役に立つことを知っていますか。社会人として仕事や生き方に悩み「このままでいいのかな」と思っている人も少なくないと思います。本当にやりたいことや、自分の強みを明らかにするために、改めて自己分析をやってみませんか。この記事では、日本に初めて自己分析を広めたキャリアデザインスクール「我究館」のコーチが、社会人にとって自己分析をやるメリットや詳しい方法をご紹介します。この記事を参考に自己分析をしてみると、転職活動に役立ったり、日常生活でも決断がしやすくなったりするため、ぜひ最後まで読んでください。目次自己分析とは自己分析とは「自分はどうありたいのか」「どういう人生を生きたいのか」ということを明らかにするために、人生を振り返り、自分のことを深く知るプロセスのことを言います。過去の自分が「何を感じ、どう考えて行動してきたのか」を言語化します。自分に関する様々な質問に答え、自己理解を深めていくことが自己分析です。大人が自己分析をするメリット自己分析は就活生だけではなく、社会人になってもやるメリットがあります。一つずつ紹介してきます。軸が分かると意思決定がしやすくなる理想像に近づけるやり甲斐を感じやすくなる軸が分かると意思決定がしやすくなる自己分析をすることで、ものごとを決める際の判断基準となる「軸」が明確になり、どの場面でも適切な意思決定ができるようになります。私たちは日々、大小様々な決断が求められます。何気なく選んでいても、過去の経験や価値観に基づいて決めていることが多いです。軸は過去も未来もブレません。大きな決断をする時も、自分の中の揺るぎない軸が理解できていれば、その軸に合っているか、合っていないかで、適切な選択肢を選ぶことができます。自己分析で揺るぎない軸を明らかにしましょう。理想像に近づける自己分析は理想の姿に近づく第一歩になります。皆さんは将来どう生きたいか、どうありたいか、理想像を描けていますか。理想がなく日々を過ごしていると、現状維持、もしくは衰退します。今に満足していないなら、自己分析で理想の姿の解像度を上げましょう。映像として見えるくらい具体的になった理想像は、実現できたも同然です。目標までのアクションプランが立てられるため、理想に大きく近づくことができます。やり甲斐を感じやすくなる自己分析で自分の強みや原動力、やり甲斐を感じるポイントが分かると、適性に合った環境や仕事を選ぶことができるため、よりやり甲斐を感じやすくなります。私は小さい頃から夢だった新聞記者になったのですが、仕事をしていてもやり甲斐を感じられず、頑張りきれませんでした。自己分析をした結果、「誰かに喜んでもらうこと」にやり甲斐と感じることが分かり、必ずしも誰かに喜んでもらうために仕事をする訳ではない記者職には、ギャップがあったことに気づきました。やり甲斐はモチベーションに繋がります。自己分析の結果を活かし、やり甲斐を感じる環境を手に入れましょう。大人の自己分析のやり方を自己分析のプロが詳しく解説社会人の方におすすめの自己分析の方法を一つずつ解説していきます!まずは興味を持った方法を、一つ実践しましょう。①自分史を書く②モチベーショングラフを作る③Will Must Canのフレームワーク④「Why?」で掘り下げる⑤自己分析ツールを使う①自分史を書く自分史とは「自分の歴史」です。生まれてから今日に至るまで、やってきたことを書き出しましょう。年齢や世代別に分け、起こった出来事とその時の感情を一つずつ書き出しましょう。その後、②のモチベーショングラフに進んでください。②モチベーショングラフを作るモチベーショングラフとは、モチベーションの上下をグラフにしたものです。縦軸をモチベーション0〜100%、横軸を生まれてから今日までの年齢に設定してください。年齢別にモチベーションはどのように変化していきましたか。変化のポイントとなっている部分には、どんな出来事があったかメモをしましょう。その後、上がった、また下がったタイミングの共通点を書き出しましょう。上がったタイミングは「勝ちパターン」、下がったタイミングは「負けパターン」です。モチベーションが変化した出来事を抽象化すると、自分がどんな価値観に影響をされてきたのかが見えてきます。またモチベーションを高くキープし続けるために必要な環境や、失敗するときの条件が分かります。過去に起こったことは、未来にも起こり得ます。過去を分析し、未来に活かしましょう。③Will Must Canのフレームワークやり甲斐を持ってできる仕事を見つける時のフレームワークです。Willは「やりたいこと(夢・希望)」、Mustは「するべきこと(使命)」、Canは「できること(強み・長所)」です。それぞれを円と捉え、中央が重なるように三角形状に配置する図をイメージしてください。それぞれを考えた上で、三つの円が重なっている中央に仕事のやりがいがあり、重なりが大きいほど、満足感が増えるとされています。適職を考える上で有効です!④「Why?」で掘り下げるなぜ?と問うことは、思考を掘り下げる上でとても有効です。日頃から感じたことや思ったことには、価値観が潜んでいます。何かを思った時に、2回以上「なぜ?」と自分自身に問いかけ、回答を深く考えましょう。例えば、私は音楽のライブに参加すると居心地の悪さを感じます。理由を考えると、周囲のリズムの乗り方に合わせないといけないと思っているため、気疲れすることが分かりました。なぜそう思っているのか考えると、輪を重んじる協調性を大切にしていることが見えてきました。取った行動や思考の抽象レベルを上げて、共通する価値観を見つけましょう。⑤自己分析ツールを使う質問に答えることで長所や価値観を知ることができる「自己分析ツール」も便利です。インターネットで自己分析ツールと調べると、無料・有料で受けられるツールが検索できます。大手人材会社など、信頼できる企業が提供する自己分析ツールを受けてみて、客観的な分析結果を参考にすると良いでしょう。大人の自己分析に有効な質問15選前章の「Why?」で掘り下げ、気づきを得る上で有効な15個の質問をご用意しました。一つ一つに時間をかける必要はありません。まずは思いついたままに書き、なぜそう思ったか2、3段階抽象度を上げて掘り下げていきましょう。軸と自分を客観的に知るための質問①好きだったこと、楽しかったことはなんですか②悔しかったこと、満たされなかったことはなんですか③自分の好きなところ、嫌いなところはなんですか過去について①学生時代をどのように過ごしてきましたか②影響を受けた人は誰ですか③他人から見た長所と短所はなんですか現状について①長所と短所はなんですか②強みはなんですか③②の強みから考える弱みはなんですか社会と自分の未来について①小さい頃の夢はなんですか②仕事に関する憧れのイメージはなんですか③死ぬまでに実現したいことはなんですか自分の向上①あなたの「足りないもの」はなんですか②理想に近づくためのアクションプラン③裏切れない人たちは誰ですか大人が自己分析する際の注意点本音で書く!繕わない他者と壁打ちをする一度で満足せず、何度も継続して自己分析をする文章に落とし込む自己分析で深い気づきを得たり、結果を活かしたりするためのポイントがあります。注意点を一つずつ見ていきましょう!本音で書く!繕わない自己分析において、これが最も大事なポイントです。質問には嘘をつかずに思ったことを素直に答えましょう。誰しも自分をよく見せようとしてしまったり、嫌なことから目を背けたくなったりすると思います。しかし、自己分析の目的はあくまで、自分の本音や価値観に気づくことです。誰かに見せるためのものではないため、過去にあったことや思っていることをそのまま書きましょう。他者と壁打ちをする自分一人で完結せず、他人に壁打ちを手伝ってもらうことも大切です。自分では当たり前だと思っていることも、他者から見たら当たり前ではないことがよくあります。回答に対して「なんで?」「どうしてそう思ったの?」と質問をしてもらうことで、さらに分析が深まります。また他者の回答を聞いて比較することで、自分にはない価値観や共感できるポイントが見つかります。我究館では自己分析の内容を発表してもらい、コーチや他のメンバーから質問をしてもらうことで、グループ自己分析をしています。一人で考えた内容を他人に伝えることで、深い気づきを得ましょう。一度で満足せず、何度も継続して自己分析をする自己分析は何度も何度も行うことが大切です。新たな経験をしたり、時間が経ったりすることで、視点ややりたいことが変わってきます。定期的に行い、その都度書き直していきましょう。回数を重ねると、より深く、多角的に見ることができ、よりブレない本音に気づくことができます。文章に落とし込む自己分析は質問に答えて終わるのではなく、文章に落とし込みましょう。自己分析で得た強みをもとに、相手に伝えることを意識して文章を作ることで、思考が整理されます。また就職活動中であれば、自己分析で見つかった強みや長所を自己PRに、やりたいことを志望動機にするなど、実際に活かしていきましょう。大人が自己分析をするために役立つおすすめの本5選社会人におすすめの自己分析に役立つ本5選をご紹介します。書店で本を見比べて、自分に合った本1冊を何周もやりこんでみてください。絶対内定2026 自己分析とキャリアデザインの描き方大学生協16年連続売上第1位のいちばん売れてる自己分析本です。自己分析に役立つ94のワークシートが収録されています。就活生向けに書かれている本ですが、ワークシートの内容は年齢や立場関係なく取り組めます。「やりたいこと」や「なりたい自分」「自分の強み」を見つけたい人におすすめの一冊です。さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 最新版 ストレングス・ファインダー2.0 強みを見つけるならこの一冊!付録のウェブテストを受けると、34の才能の中から、自分に当てはまる才能を知ることができます。本には、それぞれの才能の詳しい内容や、活かすための戦略が解説されています。私もやってみたところ、これまで当たり前だと思っていたことを才能と判定してもらえて、自信になりました!メモの魔力 The Magic of Memos起業家・前田裕二氏によるメモ術が綴られた1冊です。メモを通じて、本当の自分を見つめ直し、夢を叶える方法が書かれています。要は自己分析です!巻末付録として自己分析をするための1000問が載っています。私も時間を見つけて、巻末の自己分析に取り組んでいます。問いの数が多いのでまだまだ終わりませんが、やるたびにより深く自分のことを分析できていると実感しています。世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッドやりたいことを見つけるための方法を図解で分かりやすく解説した一冊です。就職、転職、企業にも使える方法を体系化して解説してくれています。やりたいことを明確にしたいけど、方法が分からないという人におすすめの本です。Microsoft Wordを開発した伝説のプログラマーが発見した「やりたいことの見つけ方」がすごい! Wordの開発者リチャード・ブロディ氏による、人生で成功するために何をするべきか書かれた一冊です。自分の本当にやりたいことを探す方法が書かれています。転職活動中の社会人必読!自己分析から自己PRと志望動機を作成する方法自己分析で得た気づきは、転職活動でESや面接対策をする時にも役に立ちます。特に気づきが活きる「自己PR」と「志望動機」の作成方法をご説明します。自己PR就活における自己PRとは、自分の強みを客観的に伝え、会社で活躍できる人材だということをアピールするための設問です。ここでは、自己分析で見つけた「強み」を取り上げましょう。その上で、強みを発揮してきた過去のエピソードで説得力を持たせましょう。自己PRの一例をご紹介します。私の強みは、思いついたらすぐに実行し、結果を出す「実行力」です。私はサークルで雑誌の編集長をしていました。サークルの予算を減らされ、印刷費が足りず、廃刊の危機に直面したことがありました。私は歴史ある雑誌を存続させたいという思いから協賛を思いつき、翌日には協賛チームを編成して地元企業への営業を始めました。その結果、合計20万円の資金を集めることができ、出版を続けることができました。この行動力を活かし、アイデアを必ず実行に移して結果を出します。志望動機志望動機とは、なぜその企業に入りたいのかという理由を問う設問です。ここでは企業の情報を羅列するだけではなく、自分のやりたいことも書きましょう。自己分析で見つけた「やりたいこと」を軸に、志望動機を作成することが大切です。志望動機の一例をお見せします。「多くの人がより良い選択肢を持てる社会を作りたい」という思いが実現できると思い、貴社を志望しました。貴社を志望する理由は2つあります。一つ目は、テクノロジーを通じ、時代に合わせて、人々に多様な選択肢を与えられる企業だからです。二つ目に、社内のカルチャーが私の価値観と合っているからです。社会人が本気で自己分析をするなら、我究館ここまで大人の方向けに、自己分析のメリットや方法をご紹介しましたが、いかがでしたか?大切なことは、読んで満足するのではなく、実際にやってみることです。一つ一つのワークに時間をかける必要はありません。まずは5分からでいいので、自己分析の方法を1つ試してみてください。その上で、「このやり方で合っているのかな?」「分析内容が浅いかも」「就活にどう活かせばいいの?」と思われた方は、一度プロの手を借りて自己分析をしませんか?日本に自己分析を広めたキャリアデザインスクール「我究館」では、社会人の自己分析と転職活動をサポートしています。説明会は無料です。自分に合った自己分析のやり方を聞きにくるだけでも問題ありません。気になった方はぜひ、説明会にお越しください!